慌しく突入したシルバーウィークだったが、
充実した連休になった。
だいたいシルバーウィークという名前が気に食わない。
敬老の日を含むから老人臭くていいのかもしれないが、
ゴールデンウィークとのつながりで単に名づけられたのだとすれば
安易にもほどがある。まったく。

サマーウォーズを観る。
なかなかよくできた映画でエンドロールで流れる山下達郎もいい。
(思わず iTunes で買ってしまった。)
田舎の家族に囲まれた日常世界と、
Ozと呼ばれるシステムが作り出すネット上の世界、
世界の存亡を賭けた事件に巻き込まれていく非日常、
これら三つが重なり合い並行し合い、
踊らされるように立ち向かうように暮らしている。
リアリティ、という言葉を持ち出すと
途端に禍々しく聞こえるが、
映画のなかでこれら三つの世界は重大に扱われることもなくて
ファジーな輪郭のなかで右に揺れ左に揺れしている。
この映画自体がひとつの大きな心象風景(この言葉自体は受け売りだが)を
描いていて、過ぎし夏の思い出、というセンチメンタルな表現がぴったりくる、
それがこの映画を観たあとの最初の印象だった。
一つの恋が世界を揺るがす大事件にもなるし、
一人の家族の死によって世界の見え方が180度変わることもある。
ネット上のコミュニティが何よりも勇気をくれることもあるだろうし、
家族の愛情が何よりも幸福を与えてくれたりする。
一歩外に出ればひとつひとつは全く取るに足らない些事によって
あるいはありふれた現象をなぞるようにして、
僕たちの世界は構成されているし、それ以上は望むべくもない。
一人の人間のキャパシティは、訓練によって多少の拡がりを
持たせることができるのだとしても、
身長の大小に似てその違いは印象の違いを生むことはあっても
実質的な変異をもたらすわけではない。
そのことをとてもポジティブに笑っているような爽やかさが、
この映画にはあって、夏にすごした青春のひとときを思い出させる。
もうすぐ公開は終了すると思うが、まだ映画館は満員だった。
この映画が大ヒットするというのはいいことだと思う。
花札! によって家族をひいては世界を救おうとする少女を、
世界中の人たちがネットを通じて応援したように
この映画を観て感動する僕たちは見知らぬ誰かの幸福を願う寛容に
無条件の賛同を示していたのではないだろうか。
