2008年11月21日金曜日

SF ->

ディックの短編集「マイノリティ・リポート」を読む。
表題の「マイノリティ・リポート」と「追憶売ります」
の二編が映画化されている。
(追憶売りますの映画タイトルは「トータル・リコール」)

ディックは、短編よりも長編のほうが面白いと思う。
(「アンドロイド・・」なんてすごくいい。)
近未来を描くその木目細かさや、ストーリー展開の爽快な刺激は、
ある程度の長さで描かれたほうが、読み手の視野が広まっている分、
細部が際立って、鋭敏に感じられる。
短編は一点に集中するので木目細かさが唐突に感じられるし、
展開は、予見的に組み立てられてしまう。

他にも面白い短編があるけれど、
今回は、小説と映画について書く。

マイノリティ・リポートは、スピルバーグ監督、トム・クルーズ主演
と豪華キャストで映画化されているが、
原作の短編はエッセンスだけで映画のような壮大なストーリーはない。
プレコグと呼ばれる三人の予知能力者が世界の犯罪を未然に防ぐ、
警察機能を担っているという設定は同じであるとしてもそれ以上のものはない。
映画化されたときのストーリーの肉づけは素晴らしい。
ディックが、これを長編で書いたなら、と空想が膨らんだのだろう。

一方、トータル・リコールは、その短さがゆえに、
結末のミステリアスな読後感が痛快であるのだが、
映画は、シュワ知事主演でドンパチやっているだけの映画だ。

映画と小説を合わせて観る(読む)という行為を敢えてすることは
ないけれど、思い返してみるとなかなか面白い。
松尾スズキが原作も書いて映画化もした、
「クワイエットルームにようこそ」は、完璧といっていいほど、
映画と小説の世界観がぴったりと一致していて驚いた。
三島由紀夫の「春の雪」は行定勲監督が映画化していたが、
メロドラマ風になっていてナンノコッチャって感じ。
岩井俊二監督の「リリィ・シュシュのすべて」は、
原作はネット掲示板の体裁を取っているが、
その世界観を継続しつつ映画としての見せ方をうまく作っていて、
才気を感じたのだった。

とまあ、これだけ比較しても表面をなぞるようで恐縮。
SFは、たくさん映画化されている。視覚を刺激するのだろうか。
映画作りはまったく門外漢だが、映画化を空想してみると
ワクワクする小説というのがあって、それで作家同士の対決が始まる。

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